特定技能の受け入れ手続き:海外から呼び寄せる場合の流れ

特定技能の受け入れ手続き:海外から呼び寄せる場合の流れ

2026年10月21日 · @多田曜識

【経営者・人事責任者の皆様へ】人が足りない現場では、「今日からでも働いてほしい」というのが本音だと思います。それでも、手続きは、あとから問題が起こらないようにするために必要です。私も行政書士になる前は、飲食店の店長をしていました。人手が足りず、現場のやりくりに悩んだ経験があります。手続きの煩わしさも、理解しているつもりです。その煩わしさを、少しでも減らすお手伝いができればと考えています。海外にいる外国人を特定技能1号で雇うとき、手続きは、受入れ機関(会社)が出入国在留管理局に「在留資格認定証明書交付申請」をするところから始まります。この記事では、その流れと、申請の前に会社が整えておくことを整理します。対象は特定技能1号で、情報は2026年10月時点のものです。

こんな状況の方へ:「外国人を雇うことは決めたが、何から始めればよいか分からない」「早く来てほしいが、手続きの間に会社は何をしておけばよいのか」という方に向けて書いています。手続きの順番と、会社が先に満たす基準、そして証明書を待つ間に進められる準備を、順に説明します。まず、全体のイメージをつかんでいただくために、架空の事例から始めます。すでに外国人を雇っている方は、関連記事もご覧ください。

事例で見る:初めて海外から人を呼ぶ会社の流れ

以下は、手続きの流れを分かりやすくするための架空の話です。実在の会社や人物とは関係ありません。

人手が足りない。惣菜工場を営む佐藤社長は、求人を出しても日本人の応募がなく、「外国人の採用」を考え始めました。ところが、何から手をつければよいか、まったく分かりません。

夜、パソコンで「特定技能 受け入れ 手続き」と検索すると、いくつかの解説記事が出てきました。その中の1つを読み、「自社で支援するには実績の要件がある」「初めてなら登録支援機関に委託するのが一般的」と知りました。記事を書いた行政書士事務所に、問い合わせフォームから相談を送りました。

翌日、返信がありました。「まず、これまでに外国人を雇って管理した経験はありますか」。佐藤社長の工場は、外国人を雇うのが初めてです。「自社で生活の支援をするには、過去2年間の実績が必要です。初めてなら、登録支援機関に支援を全部任せるのが一般的です」。社長は、日々の生活の支援まで会社が負うのかと身構えていたので、少し肩の力が抜けました。

次に、人を探す話です。行政書士からは、「職業紹介事業者を、事務所からご紹介することもできますが、どうしますか」と聞かれました。しかし社長は、知り合いの経営者に教えてもらった職業紹介事業者がすでにあったので、そちらに相談することにしました。そこで行政書士が確認したのは、その事業者が職業紹介の許可を得ているかどうかです。許可を確認したうえで紹介を受け、ベトナムで特定技能の試験に合格したグエンさんと、オンラインで面接をしました。面接のあと、行政書士はさらに確認します。「グエンさんは、保証金を取られていませんか。外国の機関に払った費用の内訳を、本人は分かっていますか」。社長は、人を探すだけでなく、確認することがあるのかと驚きました。

雇用契約を結ぶときには、登録支援機関との委託契約も、申請の前に結びました。事務の山田さんが、支援機関との窓口役になりました。そして、事前ガイダンス。給料の手取り、残業、住む場所、仕事の内容を、グエンさんが十分に理解できるベトナム語で説明します。制度が求めるのは、本人が十分に理解できる言語です。この事例では、それがベトナム語でした。これは申請の前に行うことになっています。登録支援機関の担当者と一緒に時間をかけて説明し、確認書に署名をもらいました。社長は「入国してから説明するものだと思っていた」と驚きました。

準備が整い、会社の職員が、出入国在留管理局へ認定証明書の交付申請をしました。結果を待つ間、社長は何もできないと思っていました。行政書士は言います。「待つ時間こそ、準備の時間です」。山田さんは支援機関と相談して、アパートを探し、空港への迎えの段取りを決めました。工場長は、グエンさんに仕事を教える人を決めました。これは制度の義務ではありませんが、「最初の1年に辞めてしまう人が多い」と聞いたからです。

認定証明書が会社に届くと、グエンさんは、ベトナムにある日本の大使館・領事館(在外公館)で、ビザ(査証)を申請しました。ビザが出て、グエンさんは日本に来ました。空港には山田さんと支援機関の担当者が迎えに行き、アパートで生活の説明をしました。その後も、支援機関の担当者や山田さんが付き添って、市役所での住民登録の手続き、銀行口座の開設、携帯電話の契約を済ませました。

「支援は専門の機関に任せて、会社は現場の準備に集中できました」と、社長は言います。

この流れは、この後の「手続きの全体の流れ」の節で、図にまとめています。なお、外食業分野は現在、認定証明書の交付が停止されているため、この事例は惣菜工場(飲食料品製造業分野)を例にしています。

認定証明書交付申請とは:国内からの変更申請との違い

在留資格認定証明書は、海外にいる外国人が入国する前に、日本で行う活動が在留資格に当てはまることを、国が証明する書類です(入管法第7条の2)。特定技能1号で海外から人を呼ぶときは、この証明書の交付を申請します。申請は、受入れ機関の職員などが代理で行うことができます(外務省の案内)。行政書士に依頼することもできます。

一方、すでに日本にいる留学生などを特定技能1号へ切り替える場合は、「在留資格変更許可申請」という別の手続きになります。

外国人本人には、18歳以上であること、技能試験と日本語試験に合格していること、保証金を取られていないこと、などが求められます(外務省の案内)。

手続きの全体の流れ

外務省の案内をもとに、順番に整理します。

  1. 国外試験の合格(本人)。 技能試験と日本語試験に合格します。
  2. 人材を探し、面接する(会社)。 求人への直接応募、または許可を得た職業紹介事業者の紹介で探します。保証金や違約金がないかも確認します。
  3. 雇用契約の締結(会社と本人)。 初めて外国人を雇う会社は、申請の前に、登録支援機関と委託契約を結びます。本人への事前ガイダンスも、申請の前に行います。
  4. 認定証明書交付申請(会社・行政書士)。 受入れ機関の職員、または行政書士などが、代理で申請します。
  5. 証明書の送付(出入国在留管理局)。 認定証明書が、会社に送られます。
  6. ビザ(査証)申請(会社など)。 証明書を、海外にある日本の大使館・領事館(在外公館)に提出して、ビザを申請します。
  7. 入国と就労開始。 ビザの発給後に入国し、働き始めます。入国後の生活オリエンテーションなどの支援は、会社または登録支援機関が行います。

分野によって扱いが異なります。外食業は、2026年4月13日から認定証明書の交付が一時停止されています。受入れる分野の最新の公表を、先に確認してください。

国によっては、本国独自の手続きが必要な場合があります。送り出し国ごとの手続きは、外務省のページの国別情報で確認してください。

申請の前に、会社が満たす基準

申請の審査では、外国人本人だけでなく、会社も見られます。会社の基準は、「雇用契約」「受入れ機関(会社)」「支援体制」の3つに分かれています。初めて外国人を雇う会社が、特に気をつける点は、次の3つです。

  • 日本人と同等以上の報酬で、雇用契約を結ぶこと。
  • 税金や社会保険料を滞納せず、労働関係の法令を守っていること。
  • 保証金や違約金、支援にかかる費用を、本人に負担させないこと。

支援は、自社か登録支援機関のどちらかで行います。 外国人が日本で安心して働けるよう、会社は、送迎、住居の確保、生活オリエンテーション、相談への対応など、生活面の支援(10項目)を行う必要があります。自社で行うには、過去2年間に、就労できる在留資格(技術・人文知識・国際業務、技能実習など)の外国人を受け入れて管理した実績などの要件があります。初めて雇う会社は、この実績がないのが一般的なので、登録支援機関に支援の全部を委託するのが現実的です。全部を委託すれば、支援体制の基準を満たすものとみなされます。委託先は、申請の前に決めて、契約します。

採用した後は、届出が必要です。 契約の変更や終了などは、そのつど届け出ます。受入れの状況は、毎年届け出ます。支援を全部委託しても、これらの届出は会社の義務です。届出を怠ると、罰則や過料の対象になります。

各基準の詳細と、自社で支援するための要件は、別の記事で整理しています。

必要書類の考え方

必要書類は、会社の区分や分野によって変わります。そのため、この記事では全部を並べず、考え方だけを整理します。

出入国在留管理庁のページでは、認定証明書交付申請には、申請書、写真1葉、提出書類一覧表に基づく書類が必要とされています。提出書類一覧表は、認定証明書交付、変更許可、更新許可の申請ごとに用意されています。

出入国在留管理庁のページでは、認定証明書交付申請用の一覧表も、第1表(表紙つき)、第2表、第3表に分かれています。第2表は所属機関に関する書類で、「第2表の1」「第2表の2(法人)」「第2表の3(個人事業主)」の区分があり、第3表は分野ごとの書類(介護、建設、外食業など)です。つまり、会社が法人か個人事業主か、どの分野で受け入れるかで、提出する組み合わせが変わります。

どの書類が必要かは、申請する時点の提出書類一覧表と、分野別の運用要領で確認してください。書類の例は、別の記事で整理しています。

証明書を待つ間に、会社が進めておくこと

「申請したら、あとは結果を待つだけ」と考えると、入国してから慌てることになります。審査にかかる期間は、出入国在留管理庁の公表で確認する必要があり、この記事では書いていません。なお、本人への事前ガイダンス(労働条件などの説明)は、証明書の交付申請の前に行うものです。省令でも申請前の実施が定められ、運用要領は、雇用契約の締結時以前が望ましいとしています。実施した後は、確認書に本人の署名を得ます。待っている間に進められる準備は、次のとおりです。

  • 住居を確保する(一番大事な準備です)。 入国してすぐ住む場所が決まっていないと、働き始めの時期が遅れます。銀行口座や携帯電話など、生活に必要な契約の支援も、あわせて段取りします。
  • 支援責任者と支援担当者を決める。 支援体制の基準に必要です。この2つは、外国人を監督する立場にない人(同じ部署で指揮命令をする人など)から選ぶ必要があります。登録支援機関に全部を委託する場合は、この選任は不要です(委託契約は、申請の前に結んでおきます)。
  • 入国時の送迎を手配する。
  • 職場で、仕事を教える人を決める。 これは制度上の要件ではなく、飲食店の現場にいた私の経験からの提案です。誰が教えるか決まっていない職場では、最初の1年に不満が出やすくなります。

「経済水準が高くない国から来る人だから」と考えて、掃除が行き届いていない不衛生な部屋を、急場しのぎで用意する会社があります。しかし、外国から来る人は、日本に高い期待をもって来日します。築浅である必要はありませんが、最低限の清潔感は必要です。最初に住む部屋の印象が悪いと、短期間での退職につながります。これは制度上の要件ではなく、実務の立場からの筆者の考えです。

住居の確保と送迎は、支援計画に盛り込む義務的支援の項目に沿った準備で、支援責任者と担当者の選任は、支援体制の基準に必要なものです。最初の1年に辞める人が多いという公表データについては、「すぐ辞める・転職される」の記事で整理しています。

分野による違い:外食業は現在、交付が停止されています

特定技能は、分野ごとに運用の要領が定められています。基準や必要書類の一部が分野で異なるほか、分野によって扱いが変わることもあります。

外食業分野では、出入国在留管理庁が2026年3月27日に公表したとおり、4月13日から、在留資格認定証明書の交付が一時的に停止されています。海外からの呼び寄せ(認定証明書交付申請)は、現在のところ不交付とされています。外食業で新たに呼び寄せたいと考えている会社は、先にこの扱いを確認してください。

すでに外食業で特定技能1号として働いている人の転職の受け入れや更新は、通常どおり審査されると公表されています。くわしくは、別の記事で整理しています。

申請前の確認

審査にかかる期間は、申請の時期や状況によって変わります。出入国在留管理庁の公表で確認してください。

申請の前に、次の5点を点検してください。

  • 報酬額が日本人と同等以上で、雇用契約書と雇用条件書の内容がそろっている
  • 税や社会保険料の滞納、労働関係の法令違反がない
  • 自社で支援できる実績があるかを確かめ、ない場合は登録支援機関を決めて契約している
  • 本人が紹介や送り出しの段階で、保証金や違約金を負担していない
  • 受入れる分野の最新の公表(停止の有無、運用要領)を確認した

制度の扱いは、今後変わる可能性があります。個別のケースについては、在留資格の専門家にご相談ください。足立区で入管業務に取り組んでいる当事務所でも、ご相談をお受けしています。

関連記事

出典(2026年10月時点の公表資料)

※本記事は2026年10月21日時点の公表資料に基づいています。最新の情報は、出入国在留管理庁のホームページでご確認ください。

この記事を書いた人 Wrote this article

tadaoffice

tadaoffice

行政書士の多田曜識と申します。 東京都足立区で入管業務専門の行政書士事務所を運営しております。